雨が降ったら気分が滅入る。
だってみんな、暗い顔して暗い色の傘をさしているから。
きっとみんなそうなのだろう。
明日が雨降りだと聞けば、気分が滅入る。
だからそんな顔して歩いてるんでしょ?
気持ちはわかる。とても、わかる。
だからこうしよう。
雨降りが嫌なら。
みんなでもっと色とりどりの傘を持って歩こう。
黒い傘もいいけど、透明なビニール傘もいいけど。
1本だけでいいからお気に入りの傘を。
できるだけ派手な色のものがいいな。
それだけで、暗い色ばかりの雨降りが変わって見える。
みんながそれぞれ1本だけ。
それだけで雨降りの町が明るくなる。
それだけで今より少しだけ雨降りが好きになる。
あなたは橙で、私は紫。
こっちは水色で、そっちは虹色。
傘をさした分だけ世界は狭くなるのに、顔は見えにくくなる。でもあなたの傘の色を知っていれば、あなたを見つけやすくなる。
あなたのために傘をプレゼントしよう。
あなたの好きな色。
傘をさしてもすぐに気づけるように。
だからあなたも私の傘の色を覚えておいて。
狭い世界の中から、私を見つけて。
明日は雨降り。
買ったばかりの傘があったなら。
それが一目で気に入ったお気に入りなら。
お気に入りの傘をもう持っていたら。
それを使えるのが雨の日だけの特権だとしたら。
みんなが傘をさした分だけ、世界は狭くなる。
あなたが派手な色の傘をさした分だけ、今日より明るい世界がやってくる。
雨降りが待ち遠しい世界なんて、素敵でしょ?
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