栄養ドリンクを飲むタイミングは自分と気分次第。

ストーリー
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影の長さは私のライフゲージ。

 

起きたばかりの朝は長く伸びている。

やる気に満ちて希望に満ちて。

今日はどんな一日になるのだろう。

何色にも染まっていないこれからの時間を、ああでもないこうでもないと想像しながら支度する。

もう会社へ出かけよう。

その前に、腰に手を当てて栄養ドリンクを飲み干す。

いってきます。

気持ちの入った声がからっぽの部屋に響いたのを確認して、ドアを閉めた。

 

気がつけば。

時間が経つにつれてライフゲージは減っている。

あんなに長かった影は、こんなにも短くなっていた。

 

理由は様々。

気分だったり体力だったり。予想外のことが起こったり予想内のことが起こったり。他人だったり自分だったり。そして、お日様の角度だったり。

理由はひとつじゃない。いろんな理由が絡み合って、こんなにも短くなった。

 

みるみるうちにライフゲージがなくなっていく。

でも私は焦らない。

私は知っているから。

 

もう少し時間が経てばライフゲージが回復することを。

 

朝とはまるきり違う私のライフゲージ。

あのやる気と希望はどこへ消えてしまったのか。

まだ大丈夫。

時間はまだ残っている。

ライフゲージはもう一度、回復する。

 

 

会社を出ると、空はすっかり橙に。

私の影は、うんと長くなっていた。

 

ライフゲージが回復したのも、理由は様々。

残業なしでこんな時間に帰宅できたり、怒られたことも失敗したことも上手くいかなかったこともすべて過去のことだと気づいたり、明日になったらまた頑張ろうと思ったり、次にしっかりつなげようと思ったり、今日は給料日だったと気づいたり。そして、お日様の角度だったり。

理由はひとつじゃない。いろんな理由が絡み合って、こんなにも長くなった。

 

それでも、あと僅か。

ライフゲージがなくなるまで、残り僅か。

陽が沈めば、橙が黒に染まれば。

帰宅途中だとしても、まだ仕事中だったとしても。

抗うことはできない。

 

でも私は知っている。

ライフゲージが消えたとしても、まだ一日は終わっていないことを。

まだ時間は残っている。

今日はまだ残っている。

 

仕事が終わっても今日は終わっていない。

 

私は腰に手を当てて、栄養ドリンクを飲み干す。

大切なのはどこまでいっても、気持ち。

そう言い聞かせながら、歩いていく。

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